風狂知音
home menu ライブスケジュール サウンドプレイヤー you リンク メンバー紹介 お知らせ
 風狂知音は、完成した音楽を商品として提供するユニットではない。メンバーは、事前の打ち合わせもなく、始まりの合図もなく、それぞれ自分の感覚にしたがって音を出す。したがって、まずは渾沌から始まる。渾沌のなかに微かな調和の兆しをみつけ、それに乗り、膨らませてゆくうちに、誰も想像していなかったような音楽になる。聴衆は、この音楽が完成してゆくまでのスリリングな過程を楽しむのだ。
 しかし、そのとき演奏者は、いったい何に集注しているのだろう。楽譜や曲の記憶にではない。他のメンバーが出している音にでもない。「その場に存在する音楽」に、なのだという。つまり演奏以前に、すでに音楽はあるというのだ。その場に潜んでいる音楽を現前させること。このあやうく狂おしい営みをこそ「風狂」と呼ぶ。
 収録されている「Cheek to Cheek」は、必ずしも風狂知音の代表作と言えるものではない。渦、らせんと言った力強いうねりこそ、風狂知音の楽風なのである。しかし、この佳品は、元酒蔵を会場にして行われたライブからの一曲であり、ここには酒造りのプロセスである攪拌ー沈殿ー発酵という展開が鮮明に現れているように思われる。まさに「その場に存在する音楽」の出現だ。風狂知音にとって音楽とは、このような感応的な出来事のことなのである。
風狂知音
to top↑

Copyright(C) 2005~2010 FU-KYO-CHI-IN All Rights Reserved